「あー。改めて言われるとすごいな」 走ってあちこちを見て回り始めた子供たちを、シヴァに任せて会話にディノッソ参戦。 「当事者の俺は諦めた。望ましい結果なのだ、許容せざるを得ん。感謝もしている」 感謝されると照れる。あと、カーンはそのまま死にたかったんじゃないかと、少し心配だったので嬉しい。 「さて、エスに移動を始めるか。ゆっくりしていると暑くなるからな」 「おー、出発するぞ! 集まれ」 ディノッソが声を掛けると、子供たちが走り寄ってくる。 クリスとディーンも走ってきた。 クリスは子供たちと一緒になってあちこち見て回っていた。オーバージェスチャーで面倒見のいいクリスは子供たちに人気。 ディーンはあれだ、ディノッソのファンだ。べったりとつきまとうことはしないが、声がかかれば張り切って寄ってくる。 「まずしっかりフードで顔を隠して。気づかず肌を晒していると火ぶくれになるわよ。気をつけてね。次にズボンは靴下の中に入れるか、裾をくくること。砂が入らないようにするのよ」 ハウロン先生の砂漠を歩く講座。 俺の【転移】であっという間だが、それは知らせず子供たちをしばらく歩かせる。ディノッソとシヴァは子供たちに優しいが、甘やかしているわけではない。冒険者として身が立つように早いうちから仕込んでいる。 俺もちょっと見習って、限界まで歩いてみようか。前に来た時は限界のはるか手前で【転移】して『家』に戻ってたからな。 「オアシスが消えて久しい。魔物さえいなければ夜に進むほうが良いのだがな。凍えるほど寒くもなるが、焼かれるよりは対応できる」 カーンが寒い方を取るなんて珍しい。

  1. 転移したら山の中だった。

転移したら山の中だった。

「レディローザは、この内海でこそおとなしいが、クラレッツやシュルムあたりの海域では、有名な海賊だしな。拠点としてこの島は水が豊富なのは願ったりだろうが、でかい船はどこに置いておくつもりだったんだか」 キールが不審そう。なお、自国と敵対する国の海域に入ったり、近くに敵対する国の商船が来ると、普通の商船が海賊に早変わりするのが横行というか普通なので、ナルアディードの海域以外での海賊行為はあまり問題視されない。 大抵、国同士で拿捕したり沈めたりしていて、レディローザのようなフリーの海賊は、海運ついでに特定の国の船を襲えと国に雇われてたりもするらしい。 それにしてもキール、一応考えてるのか。 「体制を整えつつあるものの、出来たばかりの小さな島の街。精霊の枝も水もある。他から見たら垂涎の的です、湾はいざとなれば掘ればいい。居館にいる内政に関わる人物は少人数で、いざとなったら皆殺しに」 変わらぬ笑顔でアウロが怖いことを言う。 「最終的にはそうかもしれないけれど、私となり替わりたかったんじゃないかしら? 否定しても私を領主だと思い込む人が多くって――レディローザもね。実力を見せて、アウロに取り入って……」 ため息を吐きながらソレイユが言う。 「確かに私の方が王の枝を持つ 本 国 と繋がっていると、勘違いされる方が一人二人おられますね」 「私は雇われだってことを隠してないというか、領主ではなく代官だって正直に言ってるだけなのだけれど」 チェンジリングや警備をアウロが取り仕切ってるから影のNo. 1っぽく見られるのか。ぽくというか、そのまんまだが。ソレイユが領主ではないと否定すると、ソレイユの上――俺の存在が認識されず、アウロに流れ弾が行っている気配。 「馬鹿だが、本国自体がないなんて誰も思わんだろ」 キールが吐き捨てる。 「私は内政は最小限に、商談の時間を取れるようにしてくれる二人には、感謝しているんだけれど」 アウロとキールの方を向いて、笑顔で肩をすくめてみせるソレイユ。 レディローザはわからんが、ローザは精霊憑きにちょっと執着しているように感じた。もしかしたらチェンジリングにも同様の執着があるかもしれない、とちらっと頭をよぎる。 「海鳥くんの声の届け先は、サッタルの2番目に高い煙突の家だそうだ。レディローザがちょっかいかけてこなければ放置でいいが、一応伝えとく。ついでに俺は勇者が嫌いなんで、絞り取るのはいいが深入りしないように頼む」 服とか鞄とか宝石の類は買いあさりそうなんで、布で搾り取って破産させてやってくれ。 「ええ。国の覇権争いには関わらないし、以前貴方に言われた通り、取引は分散しているから安心して。商会も出来たばかりな割に、高価なものや目新しいのもを扱ってるから、ナルアディードのギルドを間に挟むようにしているわ」 「うん、安全第一で頼む。さて、次に行こうか」 そう言ったら、ソレイユが固まった!

花火の場所取りをしている最中、突然、神による勇者召喚に巻き込まれ異世界に転移してしまった主人公の迅。 巻き込まれた代償として、神から複数のチートスキルと家などのアイテムをもらう。 目指すは、一緒に召喚された姉(勇者)とかかわることなく、安全で快適な生活を送ること。 果たして迅は、精霊や魔物が跋扈する異世界で快適な生活を満喫できるのか――。 「カクヨム」年間ランキング1位獲得の人気作がついに書籍化! (C) Jaga Butter 2020 新規会員登録 BOOK☆WALKERでデジタルで読書を始めよう。 BOOK☆WALKERではパソコン、スマートフォン、タブレットで電子書籍をお楽しみいただけます。 パソコンの場合 ブラウザビューアで読書できます。 iPhone/iPadの場合 Androidの場合 購入した電子書籍は(無料本でもOK!)いつでもどこでも読める! ギフト購入とは 電子書籍をプレゼントできます。 贈りたい人にメールやSNSなどで引き換え用のギフトコードを送ってください。 ・ギフト購入はコイン還元キャンペーンの対象外です。 ・ギフト購入ではクーポンの利用や、コインとの併用払いはできません。 ・ギフト購入は一度の決済で1冊のみ購入できます。 ・同じ作品はギフト購入日から180日間で最大10回まで購入できます。 ・ギフトコードは購入から180日間有効で、1コードにつき1回のみ使用可能です。 ・コードの変更/払い戻しは一切受け付けておりません。 ・有効期限終了後はいかなる場合も使用することはできません。 ・書籍に購入特典がある場合でも、特典の取得期限が過ぎていると特典は付与されません。 ギフト購入について詳しく見る >

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