労働者の賃金債権が、会社が倒産をしてしまったケースでも手厚く保護され、しかし、一方で十分な支払を受けることができないケースについても紹介しました。
そこで、倒産してしまい、会社の資産によっては給与全額を十分支払うことができない場合に備えて用意されている「未払賃金立替払制度」について、弁護士が解説します。
「解雇」のイチオシ解説はコチラ! 3. 制度の概要と法律
未払賃金立替払制度とは、倒産してしまった会社に代わって、国が労働者に未払いの賃金や退職金を支払ってくれる公的制度のことです。
立替払い事業は、賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)及びその施行規則・施行令に基づいて行われます。
3. 最大8割の立替払いを受けられる
賃確法施行令4条1項によれば、労働者は、最大で未払いの賃金(退職金)総額の8割まで立替払いを受けることができます。
ただし、請求する労働者の年齢ごとに以下のような金額の上限が定められています。
30歳未満
:88万円
30歳以上45歳未満
:176万円
45歳以上
:296万円
したがって、労働者の収入と年齢によっては、未払いの賃金、退職金などの全額を支払ってもらうことはできない場合があります。
4. 未払賃金立替払制度を利用する7つの条件
労働者が未払賃金立替払制度を利用するためには、次の7つの条件を全て満たす必要があります。
いざ、勤務している会社が倒産の危機にさらされたときにあわてぬよう、日頃から、未払賃金立替払制度を利用することができるかどうか、検討しておきましょう。
4. 未払賃金立替払制度 | 東京労働局. 労災保険適用事業場での事業継続
労災保険が適用される事業場で、1年以上事業活動が継続されていたことが必要です。事業の開始が1年以上前でも、実際に事業活動をしていなければ条件を満たしません。
したがって、起業直後のベンチャー等は、倒産する可能性の高い状態にあるのはやまやまですが、未払賃金立替払制度を利用することはできません。
4. 会社が倒産したこと
立替払制度は会社が倒産して収入に困っている労働者を救済するための制度です。そのため、会社が倒産したことは必須の条件になります。
ただし、例外もあります。法的な倒産手続でなかったとしても、事実上の倒産状態にあり、労基署の確認を得られる場合には、未払賃金立替払制度を利用することができます。
4. 労基準が定める労働者であること
立替払制度を利用するためには、労働基準法が適用される労働者に該当することが必要です。
例えば、業務委託を受けている個人事業主などは、労基法の労働者ではないため、未払賃金立替払制度を利用することができません。会社(使用者)の指揮命令下で業務に従事しているといえるかどうかが基準になります。
4.
- 未払賃金立替払制度 | 東京労働局
- 新型コロナ: 中小未払い賃金、立て替え迅速に 最短2カ月: 日本経済新聞
未払賃金立替払制度 | 東京労働局
あなたは、倒産したときの未払いの給料が国から立替払いしてもらえる「 未払い賃金立替制度 」をご存知ですか? 「給料が未払いのまま会社が倒産してしまった」
「業務が停止したまま、経営者と連絡が取れなくなってしまった」
こんなことがあったら、 もうこのままお金が返ってこない のかと焦ってしまいますよね。
こんな場合に、一定の条件を満たせば「未払い賃金立替制度」を利用することができ、 最大8割まで の給料を取り返すことができます。
そこで、この記事では、
未払賃金立替制度の 利用できる条件
取り返せる 給料の金額
必要な 手続きの流れ
などについて詳しく解説します。
最後までしっかり読んで、行動をはじめましょう。
1 章:未払い賃金立替制度とは?利用できる条件・給料が返ってくる範囲などを詳しく解説
「未払い賃金立替制度」とは、 会社が倒産 したときに、その会社で働いていた従業員が給料を取りっぱぐれることがないように、 国が給料の一部を立て替え て支払ってくれる制度です。
社員
そんな制度があるんですね。その制度って誰でも、どんな場合でも利用できるんですか?給料は全額返ってくるんですか?
新型コロナ: 中小未払い賃金、立て替え迅速に 最短2カ月: 日本経済新聞
」を参考にしてみてください。)。 未払い残業代を請求するためには残業代の計算も必要となってくるので、「 私の残業代はいくら?残業代計算方法【図解で分かり易く解説】 」も参考にしてみてください。 この記事の監修者
弁護士 今成 文紀 東京弁護士会 / 一般社団法人日本マンション学会 会員
一見複雑にみえる法律問題も、紐解いて1つずつ解決しているうちに道が開けてくることはよくあります。焦らず、急がず、でも着実に歩んでいきましょう。喜んですぐそばでお手伝いさせていただきます。
会社の 売掛先からの入金や、会社がマンション等の賃貸物件を所有している場合の賃借人からの賃料は、破産の申立準備を進める過程でも、引き続き受領して差し支えありません。
むしろ、後に破産管財人に引き継ぐことを想定し、適切なタイミングできちんと回収すべきものといえます。
しかし、従来からの会社の口座に入金を受けると、銀行自体からの借入れと相殺されるおそれがありますので、場合によっては速やかに代理人の預り口座を新設し、売掛先や賃借人には代理人口座に入金してもらうなどの対応も必要になります。それにより、のちに管財人に引き継ぐにあたって入金明細も同時に明らかにすることができます。