学生課と職員室に用があったんだろ?」 「あら、あんなの嘘よ」 さらりと言ってのける槙坂涼。 「いちおう担任の先生には挨拶にいったけど。今日は藤間くんに会いにきたの」 「わざわざ学校まで?」 他にいくらでも時間と場所はありそうなものだが。 「今日は何の日か知ってる?」 「さてね」 「そうやってすぐに惚けるんだから。……ほら、手を出して」 彼女の口調は、拗ねる弟に呆れる姉のよう。 僕は彼女のほうを見ず、手だけを差し出した。 直後、その掌の上に乗せられたのは、期待に反して驚くほど小さくて軽いものだった。……見れば銀色の包み紙に包まれた小さな物体。 「何だこれ?」 「あら、知らない? ぷっちょっていうお菓子よ」 知っている。知っているが、しかし……。 「待て。何かおかしくないか?」 「そう?」 今度は槙坂先輩が惚ける番だった。 「そうね、わたしもう一度素直でかわいい藤間くんが見たくなったわ。何がほしいか正直に言ったらあげてもいいわよ?」 彼女が今どんな顔をしているか、そちらを見なくてもわかる。例の天使の顔をした悪魔の笑みを浮かべているに違いない。 「そっちこそ受け取ってほしいものがあるならそう言えばいい」 「素直じゃないわね」 「お互い様だろ」 そのままふたりとも黙ってしまった。 僕は素直に言うのが癪だから。彼女は僕が下手に出るのを待っているから、だろうか。言う通りにするのは業腹ではあるが、このままタイミングを逃すのはそれ以上に馬鹿らしい話である。 僕は心の中でため息を吐いてから切り出した。 「えっと」 「あの」 が、その発音が彼女のそれと重なった。 「……お先にどうぞ」 掌を差し向け、先を譲る。 「じゃあ、わたしが先に言うから、藤間くんもいま言いかけたことを言ってね?」 そうして一拍。 「今日はバレンタインよね?

Cinii 図書 - その女、小悪魔につき-。

書誌事項 その女、小悪魔につき-。 九曜 [著] アルファポリス, 星雲社 (発売), 2014. 5 [1] 2 タイトル読み ソノ オンナ コアクマ ニ ツキ 大学図書館所蔵 件 / 全 2 件 この図書・雑誌をさがす 収録内容 その女、小悪魔につきー。 and She said… 内容説明・目次 巻冊次 [1] ISBN 9784434191893 内容説明 槇坂涼。この学校で彼女の名を知らない生徒はいない。黒髪ストレートのオトナ美人。口元にはいつもやわらかい微笑みを浮かべている。手足はすらりと長く、スタイルはまるでモデルのようだ。ただ教室に入ってきただけでも、その歩く姿に思わず目を奪われてしまう。成績も当然のように優秀で、休み時間にはよく友達に勉強を教えている。心優しい性格の持ち主で、困っている人を見過ごせない。そんな身も心も美しく、聡明な女性。だが彼女は、悪魔である—。 2 ISBN 9784434196423 平和と退屈と本を愛する一介の高校生。僕の学園生活はそれでよかった。だから高嶺の花に興味はなかった。愛すべき退屈を捨て、僕は悪魔と恋に堕ちる—。小悪魔な完璧美少女と天邪鬼な文学少年が綴る、近くて遠い、恋物語第二巻。 「BOOKデータベース」 より

その女、小悪魔につき――。 - 第1話

スマホを失くしたときの僕の不安や、かぎりある容量への圧迫は? と言いたいところだったが、まぁ、目くじらを立てるほどでもないか。 「なぜそんなことを?」 「この場をセッティングするためよ」 「だったら普通に話しかければいい」 あんな手の込んだことをする理由がわからない。 「何ごともインパクトが大事だと思うの。残念ながら『突然の電話作戦』は不発だったけど、でも、おかげでもっと面白いことを思いつくことができたわ」 今さら昨日の未登録の番号が槙坂先輩だとわかったところで驚きはしない。とっくに気づいていたことで、単に確認が取れたに過ぎない。 「インパクト、ね。僕には回りくどいことをしたようにしか見えないな」 「それもことをスムーズに進めるための布石。得たいものを得るための下準備よ。事実、藤間くんは電話に出てくれて、ここにもきてくれた。ちがう?」 「……まぁ」 確かに、思いがけず愉快なことをされて、槙坂涼に興味を持ってしまったのは否定できない。それを素直に認めるのは癪だし、本人には絶対に言いたくないが。 「にしても、よく僕のスマホを盗るなんて芸当ができたものだ。あなたは何をやっても人目を引くのに」 「ええ、でも、目立たないように行動するコツも覚えたわ。これくらいならいくらでもできるわよ」 なるほど。槙坂涼の知られざる特技というわけだ。 「じゃあ、次の質問。……なぜ僕だった? その女、小悪魔につき――。 - 第1話. なぜ僕に声をかけようと思った?」 そう。そこが問題だった。 何がきっかけだ? 「そうね」 そう言って彼女は考えるポーズを見せるが、こうして行動に移している以上理由はすでに明確になっているはずだ。考えることがあるとすれば、それを出力するための言葉だろう。 「わたしと似ているから、でしょうね」 「似てる?

その女、小悪魔につき――。 - その1 バレンタインSs

2月14日はバレンタインディ。 そんなことは誰だって知っている。日本全国共通だ。 とは言え、後期試験を目の前にした高校生には、本来関係のない話である。 「藤間ー。バレンタインだぜっ」 「……」 こんなところにバカが野に放たれていた――と思ったら浮田のやつだった。 午前最後の授業の終了後. 講義棟を出て2月の寒空の下、学食を目指していた僕に、後ろから追いついてきた浮田がハイテンションで声をかけてきた。どうやら近くの教室で授業を受けていたらしい。よりよい人間関係を保つため知り合い何人かの時間割りは把握しているが、こいつは対象外商品だ。 「試験前のこの時期にバレンタインとは余裕だな。好きにすればいいけど、もらう予定はあるのか?」 「ない!」 力いっぱい答える浮田。どうしてそれで浮かれられるのだろうな。 「でも、まぁ、もらえないとしても、男にとっちゃ一大イベントなわけじゃん?」 「そうか?」 「どいつが何個もらうかとか、どの女の子が誰にあげるかとか」 それだけ自分を蚊帳の外に置きながら今日という日を楽しめるそのポジティブさには感心する。 「中でも一番の注目は槙坂さんなんだけどなぁ」 確かに槙坂涼の本日の動向は注目に値する。だが、浮田はそれを残念そうに言い、そういう言い方になるのには理由があった。 「でも、卒業したね」 「そうなんだよなぁ」 わざとらしく項垂れて落胆のポーズを見せる浮田。 そうなのだ。3年生は1月早々別メニューでの後期試験を終え、先日の卒業式をもってこの明慧学院大学附属高校を巣立っていった。槙坂涼はもうこの学校にはいない。 「槙坂さんのいない高校生活なんてっ」 「どうした? 意義を見出せなくなって自主退学か? 僕は止めないし、むしろ迷ってるなら背中を押してやろう」 「お前ね……」 と、横目で何か言いたげな視線を向けてくる浮田に、僕は肩をすくめてみせる。 ――さて、バレンタインか。 せっかくの年に一度のイベントだ。それなりに楽しまないと損だという思いはある。が、この場にいない人間のことを言っても仕方がない。 僕は周りを見回した。記憶が正しければこの学食へ向かう流れの中にいるはずなのだが。――いた。 「悪い。知り合いに声かけてくる。先に行っててくれ」 浮田に断り、その小さな背中を目指す。 「こえだ」 僕の声に彼女――三枝小枝が振り返った。 「あ、真だ。やっほー」 こえだは無邪気に応え、先ほどの僕がしたように一緒に歩いていた友人を先に行かせた。 待ってくれていた彼女に追いつき、並んで歩き出す。 「どしたの?」 「ああ。お前、何か忘れてるんじゃないかと思ってさ」 「何かって?」 隣でこえだが首を傾げた。 「おいおい、そんなので大丈夫か?

本気なのか?」 「さて、どうなんでしょうね」 少なくとも楽しんではいるみたいだが。 「ていうか、何を人伝に聞いたみたいな言い方してるんですか。そもそも槙坂先輩に僕のケータイ番号をおしえたのは先輩でしょうに」 「おう。残高百九十円の図書カードと交換でな」 「驚きの安さだ」 僕の個人情報はそんなに格安なのか。 遡れば、槙坂涼がなぜ僕のスマホの番号を知っていたかという謎が出てくるのだが、なんてことはない。目の前にいるこの人に聞けばいいのだ。 古河美沙希は知る人ぞ知る情報屋だ。 「○○君がどこでバイトしているか」とか「××さんが毎日どの電車に乗っているか」とか、そういった情報を素早く提供してくれる。金銭での売買はせず、商品券や図書カードと交換で。一歩間違えたらストーカーを生み出しそうな気もするが、そのあたりは彼女の猫目が相手を見極めるので、問題は起こっていないようだ。 槙坂先輩もこの人から情報を得たのだろうが、まさか僕と美沙希先輩につながりがあるとは思わなかっただろう。 「それはそうと、先輩はケータイ番号みたいな個人情報は扱ってなかったのでは?」 「まぁな。でも、あの槙坂涼がお前に興味をもってるんだぞ。こんな面白そうなことがほかにあるか? どーせ真だしな、楽しいことになりそうだったからおしえてやった」 この人の情報屋としてのモットーはかなり脆いようだ。 僕のケータイ番号は、美沙希先輩にとっては既知の情報だし、きっとその場でちゃっちゃとおしえてしまったのだろう。残高百九十円の図書カードと引き換えに。 情報屋をはじめてこういう愉快犯的遊びは卒業したと思っていたが、人間そうそう変わるものではないらしい。いや、特定個人を心底困らせているあたり、ある意味ひどくなっていると言える。 美沙希先輩はテーブルの上の割り箸を手に取ると、それで僕の漬け物を勝手につまみ、ひょいと口の中に放り込んだ。……まぁ、いいけど。きゅうりはきらいだし。 それを見ながら、 「先輩はああいう真面目な優等生タイプがきらいなのでは?」 「真面目?

● 登録販売者試験て、地域ごとに難易度が違うってホント? ● 登録販売者試験、いちばん受かりやすい県はどこ? ● カンタンな地域で受験すれば、ラクラク合格できるよね! 今回は、こんな人に読んでほしい! 2019年・全国平均合格率は43. 4% 最も受かりやすいのは 北海道で64. 3% 最も難いのは 埼玉県で23. 4% でした。 40%も差があったんだ… この記事で伝えたいこと ● 登録販売者試験は、実際に受かりやすい県がある ● しかし「受かりやすい県だけの受験は」オススメしない ● 複数受験は学習量が増え、独学では挫折する可能性が高い 試験問題には地域ごとのクセがある。 受験する数が増えれば、勉強量が増えるのは覚悟しよう。 途中で「勉強が間に合わない」と焦りたくない人は、ぜひ始めから通信講座を活用して下さい。 どんな資格も基本は絶対。何事もはじめが肝心です。基礎の理解をしっかり固めて、ぜひ「使える」知識を手に入れて下さい。 ・ 目次(クリックで表示) 登録販売者試験 合格率(全国平均) 登録販売者試験合格率(全国合計数値) 実施時期 受験者数 合格者数 合格率 2020年 52, 959人 21, 953人 41. 50% 2019年 65, 288人 28, 328人 43. 40% 2018年 65, 436人 26, 996人 41. 30% 2017年 61, 126人 26, 606人 43. 50% 2016年 53, 346人 23, 321人 43. 70% 2015年 49, 864人 22, 901人 45. 90% 2014年 31, 362人 13, 627人 43. 50% 2013年 28, 527人 13, 381人 46. 90% 過去8年間の全国平均合格率です。 2015年から受験資格が撤廃され、受験者数は増えましたが、 合格率はそれほど変わっていません。 実際、2015年以前の受験者は 「職場から言われ、ただ受験しただけ」 という人も多くいます。 どんなに実務経験があっても、勉強しなければムリ 登録販売者は、正しい学習方法さえわかれば、誰でも合格できる試験。 とはいえ、 6割が不合格。 つまり登録販売者に落ちるのは、まったく珍しいことではありません。 【登録販売者のすべて】難易度、勉強方法、合格率、おすすめテキスト・問題集など 登録販売者に関するまとめ記事です。 この記事では 難易度・合格率 勉強方法・勉強時間 独学・通信講座の比較 おすすめテキストや問題集 などを紹介しています。 かなりボリューム... 都道府県別「難易度&合格率」 ● 受かりやすい県で受験したいけど、そもそも自分の住んでる県の合格率はどうなの?

自分の住んでいる県の合格率が高ければ◎ まずは、自分の住んでいる県の合格率を確認しましょう。 登録販売者試験合格率(都道府県別) 2019年 2018年 2017年 平均合格率 北海道 64. 30% 58. 60% 62. 40% 61. 70% 青森県 61. 00% 49. 80% 54. 20% 55. 00% 岩手県 56. 90% 50. 60% 57. 40% 54. 90% 宮城県 61. 90% 56. 10% 60. 20% 秋田県 57. 00% 60. 50% 55. 50% 山形県 60. 00% 52. 80% 57. 90% 福島県 59. 20% 47. 50% 56. 60% 54. 40% 奈良県 57. 50% 41. 60% 51. 70% 50. 20% 福井県 40. 70% 19. 50% 37. 30% 32. 50% 滋賀県 58. 80% 29. 30% 41. 60% 43. 20% 京都府 38. 60% 49. 60% 兵庫県 36. 20% 51. 20% 48. 70% 和歌山県 30. 90% 38. 80% 42. 80% 大阪府 48. 40% 49. 70% 52. 30% 徳島県 32. 50% 44. 60% 45. 30% 埼玉県 23. 40% 32. 10% 38. 40% 31. 30% 千葉県 24. 80% 36. 00% 40. 50% 33. 70% 東京都 26. 00% 35. 40% 42. 70% 34. 70% 神奈川県 28. 20% 39. 40% 46. 60% 38. 10% 茨城県 35. 30% 33. 70% 35. 50% 栃木県 32. 10% 35. 60% 30. 70% 群馬県 34. 60% 36. 00% 32. 40% 34. 30% 新潟県 35. 80% 41. 70% 33. 20% 36. 90% 山梨県 38. 40% 36. 90% 32. 60% 35. 90% 長野県 37. 50% 30. 00% 富山県 43. 50% 49. 00% 42. 70% 石川県 37. 10% 34. 50% 岐阜県 42. 30% 37. 60% 42. 30% 静岡県 53. 40% 56. 40% 52. 30% 愛知県 48. 00% 50.

4% 第47位 沖縄 26. 7% 第2位 宮城 62. 1% 第46位 鳥取 27. 1% 第3位 秋田 60. 5% 第45位 山口 27. 1% 2016 第1位 兵庫 55. 8% 第47位 島根 26. 9% 第2位 静岡 55. 7% 第46位 山口 28. 5% 第3位 愛知 55. 2% 第45位 岡山 30. 4% 2015 第1位 岩手 66. 2% 第47位 愛媛 22. 6% 第2位 北海道 65. 0% 第46位 高知 26. 1% 第3位 秋田 64. 2% 第45位 香川 27. 5% 2014 第1位 静岡 57. 2% 第47位 佐賀 16. 5% 第2位 岩手 56. 6% 第46位 鹿児島 17. 7% 第3位 兵庫 55. 2% 第45位 宮崎 18. 3% 受かりやすい県ランキング 過去6年、合格率の平均です ● 合格率1位:北海道59. 8% (北海道) ● 合格率2位:岩手県56. 4% (東北ブロック) ● 合格率3位:秋田県55. 5% (東北ブロック) ● 合格率4位:静岡県53. 2% (北陸・東海ブロック) ● 合格率5位:奈良県51. 0% (奈良県) ● 合格率6位:愛知県50. 6% (北陸・東海ブロック) ● 合格率7位:兵庫県50. 4% (関西広域連合ブロック) ● 試験問題は各ブロック共通。受かりやすい県は 1位:北海道 59. 8% 2位:東北ブロック 56. 4% 3位:北陸東海ブロック 53. 2% となりました。 登録販売者試験は 日程さえ合えば、どの都道府県でも受験可能 です。 【平成29年~令和2年】登録販売者【試験日】47都道府県一覧 平成29年度(2017年)~令和2年(2020年)まで、登録販売者試験の日程をまとめました。 ブロックごとの試験日を確認して、受験勉強のスケジュール作成に役立ててください! 【平成29年~令和2年】登... ブロックによって試験の難易度が違う なら、住んでいる県に加えて「1~2か所」複数ブロックで受験するべきです 複数受験するなら、複数県の過去問が必要だよね。 てことは、その分勉強量は増えるのか…。 複数受験に「独学」はオススメしない ● 登録販売者、カンタンなブロックで受験するから独学で十分だよね 繰り返しますが、登録販売者は、正しい学習方法さえわかれば、誰でも合格できる試験。 ですが、独学はあまりオススメできません。 なぜなら、 独学で勉強しても、知識不足でクセのある問題に対応できない からです。 きちんと知識をつけないと、地域のクセに対応できないので、独学でチャレンジするのは、やめた方がいいと思います 独学NG理由①ひねった問題に対応できない 登録販売者はかなり特殊なスキルです。医療用語も多く、日常では使わない漢字も多くあります。 登録販売者を独学で学ぶと ● 独自の理解 ● 丸暗記 ● 語呂合わせ などで乗り切ってしまっているわけで、応用問題に対応できません。 最近では、突然ひねった問題が出題されることもあり、知識が身についているか試されます。 基礎を正しく理解しているかどうかで、応用力が違ってきます。なにごとも、最初が肝心!

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